These05.

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この時間、夜の繁華街は昼間には無い独特の賑わいを見せる。 アルコールで浮足立った雰囲気に呼応するように、騒がしい声を其処彼処であげる人混みをなんとか掻き分けて、全速力で走った。 「…はあ、っ、」 もう随分と、こんな風に走ったことは無い。 ぼやけてしまう視界を振り切るように、大きな息を吐き出して、なんとか呼吸を繋いで。 走るのって、こんなにしんどいんだ。 知っていたようで分かっていなかった取り止めもないことが、頭の片隅で浮かぶ。 __「……なんで、信じてくんないの?」 私に気持ちを伝えてきたあの男の、切ない声がこだましている。 本当に、馬鹿だ。 跳ね除けることに、疑うことに、 慣れて、慣れようとして。 自分を守ろうとした私は きっと、あの男を傷つけてしまった。 足は止められないし、もう止めたくない。 じわっと瞳が滲むのを多めの瞬きで遮って、 もつれそうな足を必死に動かして、 真っ直ぐになんとか進もうとする"走る"行為は。 __あの男へと向かう恋に、どこか似ている。
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