These05.

33/43
前へ
/203ページ
次へ
最寄駅に辿り着いて、改札を勢いよく駆け抜けた私は、電車内だけではいまいちまだ呼吸が整い切っていない。 自分の日頃の運動不足を痛感しながらも、駅を抜けて走り出す。 大きな車道沿いの歩道を全速力で通過していると、視界の端には毎日見慣れたガードレールが映っている。 あの男との、この場所での思い出が蘇ってしまうとまた涙は出てくるから、なんとか耐えて前を向いた時、脇にポツンと設置された自販機を目にして、一度足を止めた。 スマホをかざせば、あっという間に購入できて、ピ、と軽快な音で勢いよく飛び出すそれを手にする。 そして再び、足を前へ進ませようともがく。 足はとっくに凄く痛いし、 絶対にこれは、筋肉痛になる。 だけど、私はあの男に、言いたいことがある。
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1743人が本棚に入れています
本棚に追加