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今日は居酒屋にいる時からとっくに泣きっぱなしで、
精一杯の力で走ったことも相まって
頭が割れるような痛みを中から発し続けている。
涙を溢すのと拭うのを繰り返した顔はぐちゃぐちゃで、化粧もきっと殆ど残っていないし、コンディションとしては最低最悪を確実に記録しているけど。
___この男の前では、
そういう自分でも、もう良いって思うから。
「私、梓雪の前では、ぜんぶ、見せたい……っ、
本当の私は、
干物だしおっさんだし、部屋も綺麗じゃ無いし、
全然うまく笑えなくて面倒かも、しれないけど、
梓雪の前では、ビールもサキイカも、
もう絶対隠したりしたく無い…っ、」
しゃっくりと共に泣きじゃくった声は、
まるで子どもみたいだった。
告げた言葉も、何だか脈略の無い単語ばかり並べてしまった気がする。
だけど。
その恥ずかしさより先に、
この男に向かう気持ちを止められない。
こんなに誰かに
自分から手を伸ばしたことは、無かった。
"自分が好きなものを一緒に飲める人も、
飲みたいと思える人も、全部。
___自分を曝け出したいって思う瞬間は、
紬のタイミングで、これからいつでも、ゆっくり決めれば良い。"
あんなに嬉しい言葉、無かったの。
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