番外編1

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いつもの席ですよね、そう言おうとした瞬間。 その男の後ろにいた小柄な女に気付いて 言葉も、動作も、全てが止まる。 「こんばんは」 男と同じようにそう挨拶してきた、その高めの声を俺は確かについ最近、耳にした。 でも、あの時とは何もかもが違う。 大きめの瞳を細めて、丁寧に色の塗られた唇に弧を描きながら花が咲いたように笑って。 髪型も服装も、干物女の時とは似ても似つかない。 ___でも。 戸惑う俺を察したのか、男はカウンターでも良いかと聞いてくる。 案内を終え、とりあえずおしぼりを差し出した時。 「ありがとうございます。」 しっかりとこちらへ告げた女の声は、やっぱりコンビニで聞いたものだと、根拠もなく言い切れた。 いつもこの男が一緒に来ていた、ハイボールが好きなよく笑う女はどうしたのか。 微妙なもどかしい距離感で、いつも同じ席でお酒を飲んで笑い合ってる2人をなんとなく観察するのは、すっかり俺の趣味の一つになっていたけど、本命がこの女? ぐるぐると、流石にただの店員が聞けるわけもない疑問が浮かんでは消えて、バッシングのスピードが少し遅くなっていることに気づく。
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