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「……は、」
息が上がりすぎない程度のジョギングを経て、再び紬のマンション前まで帰ってきた。
肩を大きく一度だけ上下させながら空気を吐き出して、顔を上げた時。
目を細めてしまいたくなるほどに、
優しくて、透き通った眩しい朝日と対峙した。
走ることへの自分の気持ちが、
突然分からなくなった。
好きだと言えない戸惑いの末に、距離を置いた。
バイトをして生活をする中で
夜の暗さにどんどん目が慣れていく。
中途半端な自分のことは、
自分が1番分かっていたつもりだった。
だから。
『……中途半端なんて、言わないで。』
『梓雪は、またもう一回、
立ち上がるための休息してただけでしょ…?』
あの言葉は多分、一生忘れないと思う。
毎日、何に対しても
揺るがない気持ちの中には身を置けない。
全然今でもあの頃を思い出せばしんどい時もあって、逃げたくなるし。
そのくせにやっぱり、また始めてみたくなる。
俺は結局、面倒な人間だ。
『……やっぱり梓雪は面倒。』
だけど、そう認めて笑ってくれる子が居るから。
_____多分どんなに走っても、
もう、息がし辛くは無い。
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