番外編3

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「いや。なんでそんな驚いてんの。」 「流石によく分からない。 コンビニの干物女って気づいて面白がってたんじゃないの…?」 「え?失礼なんだけど。」 不服そうな梓雪は、そのまま私の頬を軽くつねる。 頭に疑問符ばかり浮かんで、難しい表情を意図せず作ってしまった私に一拍置いて、口を開いた。 「……店員にちゃんと丁寧に いちいち挨拶するとこが好き。」 「……え?」 「てきぱきお会計の用意しつつ、商品のバーコード こっちに向けてくる気遣いも好き。」 「………なに、それ。」 見上げた男の三白眼が、あまりに優しく細まる。 何、それは、なんの話。 うまく言葉が出なくて、ただ瞬きだけを重ねた。 「つか普通に全部可愛くて、 どタイプだったから話しかけましたけど。」 いつもの軽口。 それがどれだけ私の心に影響を与えてしまうのか、 この男は分かっているのだろうか。 「…そんなの、聞いたこと無いし。」 「うん、だって言ってないし。」 言う気も無かったし、と笑ってつねっていた指をそのまま私の頬に添わせた。 私の周りには、ここ一年で随分と"変な人"が増えた。 ずっと一人で頑なに目指してきた姿とは違う、 おっさん全開の部分を"可愛い"と言う人達。 それを受け止めて私が笑える理由は、 どう考えてもこの男の存在が大き過ぎる。
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