番外編3

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「…梓雪。」 「ん?」 「…私のこと見つけてくれて、ありがと。」 ずっと、自分を閉じ込めていた。 だけど好きなものを好きだと伝えられる 存在の心強さを知った。 一緒にきっと、これからも隣で歩いてくれる。 この男のことが、すごくすごく、好き。 さっきとは言葉が変わったお礼に、男はまるごと受け止めるみたいな満足そうな笑顔を見せて。 「他に取られないか、割とずっと必死だった。」 と、それも初めて耳にする事実を呟いた。 「…梓雪。」 もう一度名前を呼んで、意を決して背伸びして顔を近づけたら、全て察したようなあどけなさの残る笑顔と共に腰を少し、かがめてくれる。 春の風に包まれた穏やかな夜。 唇に感じた優しい熱に、ちょっと泣きそうになって、そっと目を閉じた。 ちひろさん。  ロマンチックな恋の始まりは、 私の傍にも、案外あったかもしれないです。 These 《恋に落ちる瞬間のロマンスは、お伽噺の中だけ。》 ▶︎(キラキラの夜景、運命的な出逢い、王子様の言葉、確かに現実世界にはなかなか見当たらないですが) "_____清楚つくりこむの、やめたの?" "………は?" 舞台は居酒屋、 手には生ビールのジョッキ、  始まりの言葉は何ひとつ、甘さが無くても。 「コンビニで会って、居酒屋で再会して。 馴れ初めとして考えたら、結構、運命じゃん。」 「…そう…?」 「うん。結婚する時、自慢できるほどには?」 「そういうの軽く言わないで。」 「軽くどころか凄い本気だけど。」 「……、」 「何その顔、可愛い。」 一緒に語り合って笑顔になれたら、 それはもうロマンスだと主張してOKです。 fin.
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