鉢屋

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鉢屋

サイコパス 今晩は、神父様。突然ですが、僕の話を聞いてくれますか? いえ、懺悔ではないです。僕は罪なんて犯してないですから。 僕は昔から、「お前は人の気持ちがわからないね」と言われて育ってきました。僕は人の気持ちがわからないそうです。 確かに、僕はよく他人を怒らせてしまうことが多いです。恋人にも友人にも、意味もわからぬまま怒られて、そのまま多くの人が僕から離れていきました。曰く、気味が悪いのだと。 酷い話ですよねえ。面と向かって気味が悪いだなんて! 神父様もそう思いませんか? あ、いえ、何も言わなくて結構ですよ。 でも、僕は人の気持ちがわからない、なんてことはないんですよ。むしろ、人の気持ちは手に取る様に分かります。現に今、貴方がどんなことを思っているかなんて、それはもうハッキリと。当ててさしあげましょうか? ふふ、冗談です。 ……話を戻しましょう。僕は人の気持ちがわかります。でもそれって、みんなもそうでしょう? 貴方だって、今の僕の気持ちがわかりますよね?  だって僕たち、同じ人間なんだから。わからないはずないでしょう? 人の思考には限度があります。同じ人間なら、その限度は同じはずですよね。同じ生き物なんですから。人は等しく同じ生き物で、同じ思考回路を持っている。なら行き着く先は同じでしょう?  ──え? 何か間違ったことを言っていますか? ……ご冗談を! 僕と貴方は同じ生き物ですよね? 違いますか? あ、本当は人間じゃないんですか貴方。あはは、それだったらおもしろいですね。 僕は貴方の気持ちがわかる。それと同時に貴方も僕の気持ちがわかる。簡単なことでしょう? 僕と貴方は同じ人間なんですから、ね? あ、今僕のこと気味が悪いと思ったでしょう。
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