花火のような恋が砕ける

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私を片腕で抱き留めて、後ろから、朋美の指先に手を伸ばしている。私の頭上にあごを軽く乗せて喋る亜貴の体から、発音するたびにしびれるような振動が伝わってきている気がした。 「だいたい、女の子相手に嫉妬する亜貴くん、梢ちゃんの寛大さにゆるされてるだけだからね?」 「はは、たしかに。感謝しなきゃだね」 「私だったらほとほと呆れてるもん」 「……それは、困ったな。梢、呆れてる?」 言葉に詰まる亜貴の心情を思って、困り切っている。呆れともかなしみとも言える。好きな女の子に、気持ちを知られないまま、呆れられてしまう亜貴のこころを思ったら、たまらなくくるしい。 どうして亜貴は不器用なのだろう。 嫉妬したって、言い出せないくらいにいじらしい人だ。一人で苦しんで、それでも笑って見せようとする人だ。 「困ってないよ。でも、あんまり私たちだけで話してたら、そうちゃんが拗ねちゃうと思う……」 「もう拗ねてる! なぁに三人で勝手に集合してんだよ~」 鮮やかな声に、朋美から、亜貴の手があっさりと離された。視界の中央でバラバラになる二つの指先を見て、たまらなく壊れそうな何かに(うずくま)りたくなる。 亜貴が、私に触れる指先に力を込めた気がした。そのかなしみに、私はどうやって触れてあげられるのだろうか。
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