花火のような恋が砕ける

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満月みたいに丸い笑みを浮かべた総司が手に持った光に、くぎ付けになっている。 きらきらと眩しい光は、白とも黄色とも言えるような色合いで、その横には、緑っぽい光が浮かんでいる。 暗闇に照らされた光は幻想的で、思わずぼうっと見つめてしまった。総司は私に手を振ってきている。 「こーず! こっち来て!」 私を呼ぶのは、いつも総司だと思う。しきりに手を振られて、横に立っている亜貴が苦笑した。 「そうちゃん、片付けたらいくから」 「あっくんに任せればいいよ~」 「え、酷いな。俺一人?」 亜貴は、バーベキューが終わったあとに行ったじゃんけんで負けた私を手伝って、ゴミの分別をしてくれている。 散々酔っ払った朋美は、夜に備えて先にお風呂に入ると言っていた。お風呂で溺れたりしないか不安だったけれど、自信満々の総司が「大丈夫」と言うから見送ったところだ。 待ちきれない総司が花火のセットを取り出したのがほんの少し前で、総司はすでに一人で花火遊びに興じている。 「自由だなあ」 呟いたら、聞こえたらしい総司が「たまには俺の言うことも聞いて」と叫んでいた。 「あれ、だいぶん酔ってるかな? 梢にダル絡みしてるし」 「酔ってない!」
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