花火のような恋が砕ける

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あの日の総司は、今日と同じように私たちの肩をぎゅっと掴んで、近づいた距離にある指先を強く握った。 記憶をなぞるように、総司が指先に触れる。その熱さに笑ってしまった。 「そうちゃんの手、あっついよ」 「うるさ~い」 「うわ、梢から手ぇ離して」 「あっくんはマジで、ずっとそればっか」 確かにそうだった。あの日の亜貴も同じ言葉を呟いていた。いつも、やさしい。 「言ってたね。『こずが花火できなくなっちゃうでしょ、俺だけで我慢して』って。あれ、可愛かったなあ」 くすくす笑いながら、当然のように総司がつなぎ合わせる指先を見つめた。亜貴と総司も同じように繋いでいる。亜貴は、かなり呆れた様子だけれど。 「そうそう。そういや、あっくん、いつの間にこずのこと梢って呼ぶようになったよなあ。なんで?」 何でもないことのように聞いている。問われた本人は小さく笑っているように見えた。 亜貴が私を梢と呼ぶようになったのは、中学のころからだったと思う。ただ、今でもたまに愛称で呼ばれるから、特に気にしたこともなかった。 「亜貴は、今でもたまーに、こずって呼んでくれてるよ」 「梢、それ黙ってて」 「えっ、やっぱ仲間外れ」 「え? なんで? 何も秘密ないよ?」 「いや、たぶん無意識に出てるから……、うわ、はずかしいな」 「ふぅん」 「そうちゃん、ふぅん? ってなに? 私にも教えて」
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