花火のような恋が砕ける

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人一人分あけて突っ立っている私たちを、朋美が呼んでいる。 きっと亜貴は、朋美に亜貴ちゃんなんて呼ばれても、泣いたりしないだろう。不意にそんなことを考えたりした。 あの日、「俺、男の子なのに」と泣いた亜貴に、当然のように笑いながら「あきちゃんは男の子だよ、知ってるよ」と呟いた。 いつから亜貴は、私にとってのただ一人になったのだろう。少なくともあの時は、まだ幼馴染でいられたはずだった。 「梢? 行かないの?」 「あ、うん」 差し出された指先に、言葉が詰まってしまう。ばらばらと崩れ落ちて、ただ無言で見つめていた。あの日繋いで帰った指先は、今ここで私の前に差し出されている。 あの頃よりももっとずっと大人になって、亜貴は、どこからどう見ても男の人でしかない。 誰が見てもハッとするような綺麗な顔立ちなのに、いつもそれを見せびらかすことなく、ただそこにある。 亜貴は自分の容姿にとんと興味がないから、もったいないなあと思ったり、安心したりする。私は汚い。 「さっき」 指先を掴めない私に、亜貴が眉を顰めたように見えた。暗がりの亜貴は、きらきら光る、花火みたいな瞳を私に捧げている。 「こずってたまに呼ぶ理由、言わなかったけど」 「うん?」
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