花火のような恋が砕ける

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「うん、楽しかったね」 「あ、なんか今、言わせた感じになった?」 「ええ? そんなことないよ? またベランダでやりたい」 ふたりなら、何でもいい。 本当は言いたいのに、言えないまま燻ってしまった。言えないから大きくなるのか、それともそばにいるだけで大きくなってしまうのかわからない。 きらきら光る目の前の光景をじっと眺めながら、報われない恋の行き先を考えていた。 いつか亜貴が好きで仕方がないこころも、思い出になって行けるのだろうか。ずっとここにしぶとく残っているこれを、すっかり懐かしく思うことはできるのだろうか。 「来年も、二人でやろっか」 「あはは、来年もかあ」 来年も、ずっと二人でいるのだろうか。 恐ろしい気分になった。あと一年も、私は亜貴の横で、不毛な愛を考えているのか。ぞっとした。 このくるしみが永遠に続いてしまうような気がして、声が凍り付いてしまう。 ずっと一緒に居たい。でも、そんなことをしたら、いつか気付かれてしまう恐怖にかられたまま生きることになる。 もうこりごりだとも、ずっと感じていたいとも思う。恋の匂いは複雑すぎて解剖することができない。 「来年も、再来年も、ずっとやればいい」
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