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「そうだね。私も、ずっと好きだと思う。もう、ずっと好きだったから」
亜貴のことがずっと好きだった。だから、もう無理だ。
きっと亜貴以外なんて好きにならない。
かなしい初恋は叶わないのに、私の真ん中に息づいている。いい加減にしたらいいのに、呆れるだけ呆れて、また好きになってしまう。
「好きだけで、好きになってもらえたらいいのに」
小さく口走ったら、亜貴が笑った。ふんわりとした笑い声に顔をあげて、声とは正反対に、かなしい表情を浮かべている亜貴に言葉が止まってしまう。
そんなに苦しいなら、もう、私を好きになってよ。
言い出せないまま目をそらした。
幸福なシーンが流れている。総司と朋美は笑いながら光を追っていて、眩しさに目がつぶれそうになった。
朋美が総司の耳に何かを囁いている。暗がりの中だと、キスしているみたいにも見えた。亜貴も見ているだろう。咄嗟に声が出た。
「そうちゃん、かわいいな」
意味のない声だった。
どう見ても、今言うべき言葉じゃない。わかっているのに、止まってくれなかった。どうにかして、亜貴の注意を引きたくて、必死になっていた。
これ以上傷ついてほしくない。
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