花火のような恋が砕ける

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今にも一つになってしまいそうな二人を目で追いかけて、じれったい距離で笑いあうのが見えた。 「ラブラブ、だねえ」 「うん」 どうしてそんなふうに、私は亜貴と笑い合えないのか。唐突な悲しみが視界に星をばら撒く。 どうしようもなく、泣きたくなった。震えてしまいそうで、押し込めている。 「こず」 その時、どうして亜貴は、私の名を呼んだのだろう。 どうして、私は亜貴を見たのだろう。 震える視界の先に、亜貴の瞳があった。星屑のように綺麗な瞳が私を見て、首を傾ける。 「あ、き」 瞬きの隙に、亜貴の睫がゆれた。 二人だけの世界で、亜貴が囁いている。奇跡のような音に眩暈が散らばった。 亜貴の瞳に私が映る。ゆっくりと細くなって、睫の際に消えてしまった。亜貴の、匂いがする。 「こずえ」 胸に響く低音だった。 やさしい音のまま、瞼を下すこともできない私の唇に、亜貴のそれをそっと擦らせている。 遠くで、打ち上げ花火が鳴った。 醒めない眩暈が、忙しい。打ち上げ花火みたいに、きらきら舞ってしまう。 どうしてそのとき、亜貴は私に、キスをしようと思ったのだろうか。
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