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朝焼けは眩く嘯く
寄せては返す波を見つめている。白んだ波に、朝日が浮かんでいた。
何の感慨もなく網膜に映しこんで、瞬きを打つ。
散々花火をして、終わったら今度は朝まで飲み明かそうとか言っていた気がする。
私がほとんど飲まないから、朋美のターゲットはもっぱら亜貴になっていた。亜貴が酔いつぶれるのは珍しいから、昨日は本当に無理をしていたのだと思う。
酔っても顔に出ないタイプらしいから、突然眠ってしまったときにはさすがに驚いた。そのまま誰よりも早くソファの上に寝かせられて、一度も起きなかった。
総司は何度か朋美が気持ち悪いと言ってトイレに駆け込むのに付き添っていた。誰よりも飲んでいたのに、総司は相変わらずいつも通りの様子だ。
朋美も何度かトイレに通った後、けろりとして会話していたかと思えば、亜貴と同じようにスイッチが切れて眠りについた。さすがに総司が二階のベッドまで運んであげて二人になった。
「こずもあっくん放っておいて、部屋で寝たら?」
「うーん」
悩んでいるようなふりだけ作っていた。
亜貴を残して部屋に帰ることなんてできない。当然のように亜貴と私、総司と朋美が同じ部屋にされていた。
そうだねと頷いて、朋美が眠る部屋へと足を向けた総司を見つめていた。
ぱたんとドアが閉まったのを確認してから、隣の部屋に入って、タオルケットを取り出してくる。
2階から一段一段階段を下りて1階に向かえば、亜貴はまだ、ソファの上で寝転がっていた。
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