朝焼けは眩く嘯く

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歯を見せて笑う総司が、首をかしげている。言葉を失っている間に確信したらしい総司は、「やっぱしてたんだ」と言った。 「見えてた?」 「視力最強だから」 「うわあ。朋ちゃんも見てたかな」 「うん。だからあんなに亜貴に絡んでたんでしょ」 けらけらと笑っている。確かに昨日の朋美はひどかった。 日本酒を持って、早々に「亜貴くん、飲もうか」と笑っていたのを覚えている。酔っ払っては隣に座っている私に抱き着いて、絡んで、そのたびに亜貴が引っぺがすことを繰り返していた。 「『私の梢ちゃんを~!』ってずっと言ってたじゃん」 「あはは。言ってた。さすがの亜貴もたじたじだったね」 朋美に見られていたのだとしたら、亜貴にとってはとんだ災難だった。あの触れ合いに、大きな意味はない。私を励ますようなスキンシップだったのだと思うから。 朋美に上手に触れられなくて顔を赤くしていた昨日の亜貴を思い返すたび、とても酔えるような気分じゃなくなる。 もういっそ全部壊れてしまえばいいのに。きらきらと輝く記憶に囁いている。 昨日あれだけ笑って、あれだけ楽しかったはずなのに、胸の痛みだけが取れない。私はどうして、亜貴への気持ちを殺せないのだろう。 「こず、靴脱ご」 「うん?」
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