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「夜、元気なかったじゃん」
「うーん? そんなことないよ?」
「何年双子やってたと思ってんの?」
「本当の双子じゃないよ」
バレていたのか。気づかれないように細心の注意を払っていたのに、総司には見つかっていたらしい。
思わず苦笑してしまった表情に、総司が「やっぱそうじゃん」と呟いたのを聞いた。総司相手では、ごまかせない。
「みんな、気付いてたかな」
「大丈夫でしょ。こず、気使うのうまいし」
「え? そんなことないよ~。昨日はちょっと、疲れただけ」
「ふぅん?」
「なぁに」
「あっくんの好きが重たすぎて疲れた?」
「ええー? 何それ」
亜貴は私が好きなわけじゃない。言えないままの秘密に苦しんでいる。
いつも、総司にはすべてを打ち明けてきたつもりだった。亜貴に関する想い以外は、全部を伝えてきた。
亜貴への感情だけが、どうしようもなく、わだかまったままだ。亜貴は重たくなんてない。実際にはわかるような立場にいないだけなのかもしれないけれど、いつも細心の注意を払って、人のそばに寄り添っていると思う。
朋美に対する態度はずっとそうだ。いつも優しく見守って、時折触れて、大切にしている。
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