朝焼けは眩く嘯く

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「順調?」 「うん?」 「もうエッチした?」 当然のようにさらりと告げられて、喉に詰まった。総司から、そういうことを言われたことがない。亜貴からなんてもってのほかだ。 どこか、私たちは、そういう匂いのする言葉を避けながら側にいるようにしていた気がした。 もう、子どもじゃない。亜貴と私は付き合っている男女だと思われているのだし、心配する総司がそういう問いかけをしてきても、可笑しくないのかもしれない。 「黙っちゃった。あっくんがあんまり求めてくるから、面倒くさい?」 「な、んでそんなこと言うの!」 「こず、あっくんとキスしてからすっごい心無いような感じなんだもん。これは相当……」 「ダメっ! なに!? 変な想像しないで!?」 「うお、首閉まる……」 「変なこと言わない! 良い!?」 「わかっ、わかった……、ギブギブ」 必死で掴んだ総司の襟首が伸びている。それに気づいて手を離したら、総司が大げさに「死ぬかと思ったぁ」と叫んだ。 けろりとしている。総司としてはさっきの発言は何でもないいつも通りの言葉らしい。 急に遠くに感じて黙ってしまった。そうか当然なのか。恋人なら、普通に触れあって、普通に隣にいる。私と亜貴はおかしい。おかしいのだと思う。
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