朝焼けは眩く嘯く

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「え? じゃあなに、一回もエッチしてないの?」 「だから、変なこと聞かないでってば」 「えー、こず顔真っ赤だよ。あっくんに見られたらやばいからクールダウンして」 「どう考えてもそうちゃんのせいだよ?」 「二人がまだ一回もしてないことに驚きだわ」 「そうちゃん! その話もうしないよ」 「あっくんが怖いの?」 「やだ! ほんっとにその話、いやだ」 どうやって取り繕えばいいのかわからない。亜貴は私を好きになってくれない。だから、そういう触れ合いがないなんて当たり前だ。 亜貴が好きなのは、総司が付き合っている女の子だ。 何一つ言えない。言えないことだから、掘り下げられると黙るしかない。羞恥心なのか恐怖なのかわからない感情のまま駄々をこねたら、困ったような顔をした総司が、私の髪を撫ぜた。 「ごめんごめん。だってこず、苦しそうだったから。あっくんが嫌なことしてんなら、俺が仲裁しようと思って」 「亜貴は何にも悪くないよ」 間髪入れずに囁いたら、総司が「そっか」と笑った。 亜貴は悪くない。ただ、私が勝手に儘ならない現実に苦しくなっていただけだ。亜貴は笑っていた。朋美の隣でにこにこしていた。時折私を見て、心配するような瞳の色をさせていた。
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