朝焼けは眩く嘯く

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総司の肩に頭を預けたら、「甘えんぼうめ」と囁かれる。この肩に、すべての懺悔を吐いてしまいたかった。 無責任なまま、全てを壊す呪いを囁いてしまいたくなった。 亜貴は私と進んで行ったりしない。いつも同じ場に立ち尽くしている。だから、心配しなくていい。置いて行くのは、きっと総司の方だから。 「そんなエッチなこと聞いてくるそうちゃんは知りません」 「はは、デリカシーなさ過ぎたかあ」 「全くです」 軽く流してくれる。きっと総司なりに心配して言ってくれたのだろう。問うタイミングならいくらでもあったはずだ。それなのに、わざわざここで、誰にも聞かれないタイミングで言った。 私を心配して声をかけてくれた。総司の誠実さの上に嘘を塗りたくっている自分が心底許せない。 出来の悪い妹を慰めるみたいに、総司の指先が頭を撫でてくれる。それが妙に気恥ずかしくて、総司の肩に頭を擦りつけていた。 総司はからからとおかしそうに笑って、「こずは可愛いなぁ」と甘やかしてくれていた。 「かわいくない」 「はは、可愛いからあっくんもこずに告白したんでしょ」 「……そう、かなあ」 そうじゃない。けれど、言わないまま、濁して水面を見つめた。
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