朝焼けは眩く嘯く

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「あっくんのどういうとこが好きなの」 こっそりと、囁かれる。まるで兄妹みたいに総司が私の頭の上に頭を寄せてくる。 内緒話のような格好に笑って、感情が捉えられないまま、静かに足を揺らした。 総司の足のほうが大きい。 もう、ずっと前から、総司と私は、同じ背丈ではなくなってしまった。あんなにもずっと双子のように側にいたのに。 「秘密」 笑って言ったら、総司が「ずるいなあ」と声をあげた。囁いたら、私の好きがこぼれて爆発してしまいそうだから、ずっと胸に留めているだけだ。秘密なんて大層なものではない。ただ、おそろしいだけ。何も言えずに、濁して笑った。 「そうちゃんは?」 「うん? あっくんの好きなとこ?」 「はは、それはほとんど知ってるから、朋ちゃんの」 それとなく水を向けて、総司が苦笑するのを見た。 きっと私が話を逸らしたがっているのはバレているだろう。それでも総司は乗っかるように喉をうならせて、うんうんと悩んでいるようなポーズをとっていた。 「うーん、俺とともちゃんはさあ、似た者同士なんだ」 「ああ、たしかに似てるね」 「うん。だから、一緒だとたのしいの」 単純明快な言葉に自然に頬が笑っていた。総司らしい言葉だったと思う。
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