朝焼けは眩く嘯く

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確かに総司と朋美はよく似ている。 笑ったらひょっこりと私の顔の前に総司が顔を出した。 「笑ったな」 おちゃらけた声に謝ろうとして、総司が小さなくしゃみをしてしまう。それに二人して笑った。 「そうちゃん、この上着返すよ」 「いやいいよ。こずが着てて」 「ダメだよ。そうちゃんも熱出しやすいんだから」 「も、でしょ? こずのほうが弱いし」 ぎゃあぎゃあと二人で押し合って、結局一枚を二人でシェアすることになった。ほとんど温める意味を持っていない。それにさえ笑えた。 太陽がほとんど頭上にのぼりきっている。 今日もまた暑いのだろう。予感できるくらいには清々しい光だった。二人はまだ眠っているだろうか。ふいに思って振り返ったら、立ち尽くす影と目が合った。 「あ、き?」 階段に座って海に足を浸している私たちを見つめている。今降りてきたところなのかわからないけれど、確かに、さっきソファで目を瞑って居た人がそこに立っていた。 「お、あっくん? 起きた?」 同じようにくるりと後ろを向いた総司が、笑って手を振っている。応じるように亜貴が首を縦に振った。 「亜貴、大丈夫?」 「ああ、うん……、いや、ほとんど記憶ないかも」 「うわ、えぐいな。どっから覚えてないの」
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