朝焼けは眩く嘯く

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総司がげっそりしている。あれだけ飲まされたらそうなるだろう。 亜貴は種類を問わずにお酒を飲まされていた。一番の被害者だったのは間違いない。日本酒からワイン、焼酎、ウイスキーとぐるぐる回されていた亜貴を思い返して、胸やけしてしまう。 「ん~、どこからだろ……、バーベキューして……、花火……、したっけ?」 「えっそっから?」 かなり混濁しているらしい。 目が合って、逸らしてしまった。何かがあったことを訴えかけたいような反応に見えただろう。亜貴が忘れているのなら、なかったことにしていい。なかったことにしたほうがいい。 私だけの秘密にしていい。 「亜貴、ずっと飲んでたもんね。調子は?」 「ああ、うん。そんなに悪くないよ」 静かに歩く亜貴の手には、私がかけたパーカーが握られていた。きっと部屋にいないことに気付いて探してくれていたのだろう。 痕跡を残すようなことをしてしまった自分に気分が悪くなった。まるで亜貴が探しにくることを、待ち望んでいたみたいだ。 「ふぅん? 覚えてないのか~」 総司がにやにやと笑って、濡れた足のまま立ち上がった。脇に置かれたサンダルに足をつっかけて、立ち上がったまま私の頭を強引に撫でる。
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