朝焼けは眩く嘯く

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「ありがとう。全然邪魔なんかじゃないよ」 「そっか」 「うん。亜貴、よく眠れた?」 「うん。うーん。多分。……ごめん、ほとんど覚えてない。俺、梢に酷いことしなかった?」 本気で心配らしい。 顔を覗き込まれて、僅かに腰が引けた。その少しの動作にも亜貴は眉を顰めているように見えた。慌てて取り繕って、笑って見せる。もらった上着を着こんで口を開いた。 「ううん。何もないよ。朋ちゃんにいっぱい飲まされてた。助けてあげられなくてごめんね」 「ああ、うーん。ごめん。全然覚えてないや。梢はあんまり飲まずに済んだの?」 自分のほうが酷い目に遭ったのに、気にすることなく私の目の色を覗き込んでいる。問いかけながら、亜貴の指先が私の下瞼にゆるく触れた。そのやさしささえも苦しい。 「だ、いじょうぶだよ」 今度こそ一歩後ろに下がった私に、亜貴は何も言わない。「それならよかった」と言って、小さく頬を笑わせていた。 「戻ろう。梢は少し寝たほうがいいよ」 「うん?」 「眠そうな顔してる」 「ほんとう?」 「ん」 手を差し伸べられる。繋ぐ必要なんてないのに、差し出されたら受け取るしかない。 心の中で言い訳している。 何も言えないまま触れたら、亜貴の力で繋がってしまう。相当疲れた顔をしているのかもしれない。
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