朝焼けは眩く嘯く

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亜貴に結ばれた指先を頼りに階段を歩ききって、玄関まで戻ってくる。特にめぼしい会話もないまま、コテージについて、張り詰めていた息が漏れた。 「つかれた?」 「ううん。戻ってこられて、ちょっとほっとしちゃった」 心配そうな顔の亜貴に笑いかけて、靴を脱ぐふりをしながら指先を離した。 勘違いしてしまいそいで、いつも自分が恐ろしい。 静かなリビングに、お酒が転がっている。苦笑して、片付けようとしたら、亜貴が「後で良いよ」と声をかけてきて、動作を取りやめた。 「梢、少し寝よう」 「ふふ、心配性?」 「顔色悪いから」 もしもそうなら、きっと、寝不足じゃなくて亜貴のせいだ。言い出せないまま飲み込んだ。 亜貴は忘れてしまったのか。昨日の花火みたいな触れ合いは、永遠に私だけのものになってしまった。それを思うだけで眠気なんてなくなってしまう。 「うん、じゃあ少し寝ようかな」 きっと亜貴は引かない。 ここで問答していたって、苦しくなるだけだ。折れるように頷いたら、亜貴が安堵の顔をしていた。よほど苦しい表情をしているらしい。 一人でベッドに横になれば、幾ばくかはよくなるかもしれない。 「すぐ眠れそう?」 「うん。横になってたら……眠れると思う」
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