朝焼けは眩く嘯く

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くらくらする。 眠ろうとしているはずなのに、亜貴の横では忙しくてそれどころじゃない。困り果てて息を吐いたら、首筋にかかったらしい亜貴が身をよじった。 「ごめん、くすぐったかった?」 「すこし」 「はは、離していいよ。二人とも見に来たりしないから、演技しなくても……」 「こず」 「……うん?」 あまったるい声が聞こえた。甘えたいときの呼び方なのだと言っていた。不意に過って、胸が痛くなる。 「こず抱いてると落ち着く」 「……そう?」 私はひどく落ち着かない。ざわざわして胸が苦しくなる。それなのに離れがたいから、私はおかしいと思う。 「うん、だから、今日はこのまま……」 枕に声が吸い込まれていく。 亜貴が相当疲れていることは知っている。触れる拘束が弱まって、亜貴の寝息がつむじに触れている。眠ってしまったらしい。 まだあまり調子が回復していなかったのに、心配になって迎えに来てくれたのだろう。ゆっくりと顔をあげて、あどけない寝顔を見つめる。頬に触れて、一人で笑った。 「こどもみたいだね」 私の前でだけ、そうであってくれるならいいのに。 ひどく落ち着かないと思うくせに、亜貴の体の熱さに瞼が下りてくる。男女が二人で眠っているのに、何も起きないなんておかしいのだろうか。 きっと私と総司でも同じ結果になるのだと思う。それを考えるだけで、この関係の無意味を突き付けられてしまう。 私たちは、どこへ向かっているのだろう。
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