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しばらく帰っていないけれど、変わらず存在しているだろう。亜貴と歩いた帰り道が蘇って、思考にほどけた。
「高校は? 制服はブレザー? セーラー?」
興味津々の朋美が体を乗り出して、運転席と助手席の背に手をついて顔を覗かせた。私の顔を見て、笑っている。
「うん、セーラーだったよ」
「えっ、最高? 見たい。写メとかない?」
「ええ、ないよさすがに……」
「実家行けばあるよ」
後ろから、総司の茶化すような声が聞こえて参ってしまった。見せるほどのものじゃない。参った私をちらりと見た亜貴が、「俺、スマホに入ってるかも」と呟いたのを聞いた。
「えっ!? 亜貴くんナイス」
「なんであるの!?」
「うわっ、朋美ちゃん、揺らさないで」
運転席を容赦なく揺らしている朋美に亜貴が笑っている。
助けてくれるのかと思っていれば、加勢されてしまった。もう、卒業から三年も経っているのに、なぜそんなデータが入っているのかと思うけれど、亜貴の部屋の写真立てに高校の頃の私たちの写真が飾られていたのを見ていたから納得してしまった。
「亜貴くん、携帯貸して!」
「うん、うん、わかった。わかったから、ちょっと待って」
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