さびしさの輪郭たち

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「よし、じゃあちょっと休憩」 「あ、道の駅!? ちょうどトイレ行きたかった! 亜貴くんナイス」 「うん、お土産買って帰ろうか」 にっこりと笑って、エンジンを止めた。亜貴の手に、スマホが返ってくる。 総司と朋美が勢いよく車の外へと飛び出していく。 ドアの先から鮮やかな匂いが広がって、あっという間に夏に取り戻される。車内に二人だけになって、亜貴に顔を覗き込まれてしまった。 「怒った?」 くすくす笑っている。私が怒っているわけではないことくらい知っているだろう。わざとむっとした顔を作って亜貴の鼻をつまむ。亜貴は、つままれているくせに、おかしそうに笑っている。 話題を逃すのが上手な亜貴のおかげで何とかなったのはわかっていた。 「怒った」 「はは、ごめん」 軽い謝罪に顔を作りきれずに笑ってしまった。 「もう、何であんな昔のものが入ってるの」 「うーん? だって可愛いし」 「やだやだ。お世辞は良いです」 穏やかに笑いあって、亜貴が「降りようか」と言うのに頷いた。 安定したり、バランスを崩したり、私たちの関係は脆くあっけない。 笑ったと思ったら、次には冷や水を浴びせられて言葉を失くしたりする。 「何買っていこうか? 亜貴、実家にも何か買う?」 笑って、建物に吸い込まれていく。振り返って亜貴を見た。その瞳が凍り付いているのを見て、息が止まる。
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