さびしさの輪郭たち

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「そういや、タイムカプセル。どうなったかな」 「タイムカプセル?」 「あれ、覚えてない? 三人で小学校の裏庭に埋めたじゃん」 「そうだっけ……? ううん。そういえばそうだったかも」 卒業式のあとに、三人で一番大切なものと手紙を埋めて、大人になったら掘り返そうと言っていたらしい。薄っすらと記憶がよみがえってくる。 「もう成人したし、そろそろ掘り起こすかあ」 「私何書いたかなあ」 「え、覚えてないんだ。俺覚えてるよ」 手に持っているフランクフルトに齧り付いた総司が、食べかけのそれを私に向けてくる。特にためらう理由もなく少し齧った。 「なんて書いたの?」 「えー? こずと一緒にいられますように~だよ」 「あはは。叶ってる。お願いのハードルが低いなあ」 「こずは? 何書いたか予想しよ」 「えー? う~ん。でも私も同じだと思う。そうちゃんと一緒にいられますように、とか」 「こずえ」 「あ、あき」 くすくす笑いあって、振り返った。まっすぐにこちらを見つめる亜貴と視線がぶつかる。笑って見せたら、無言のまま、隣に腰を下ろした。 「あっくんはタイムカプセルの中身、何書いた?」 「あー、どうだろ」 「あ、わかった。どうせ『こずと両想い』とかだろ」
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