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総司への思いのように囁いて、身勝手な告白を試みている。永遠に知られないだろう私の今日のかなしい愛を、私一人だけが悼んでいた。
亜貴の息が耳にかかる。その奇跡だけで泣いてしまいそうだ。私を好きには、なってくれない。
「そんなに、好き?」
「うん」
「そっか」
「亜貴は? どんなところが好き?」
めいっぱい傷ついて、立ち上がれないくらいに打ちのめされてしまえばいいと思った。あきらめがつかないことは知っているくせに、気まぐれに試しては苦しむことを繰り返している。
亜貴は、私の言葉にしばらく黙り込んでから、小さな声をあげた。
「うん、俺も、全部なのかな」
「全然俺を見てくれなくて憎たらしいのに、隣にいなきゃ、絶望でどうにかなりそう」
「絶望?」
「目の前が、まっくらになる」
何度も真っ暗になっているのか。想像するだけで手軽にくるしむことができた。その絶望を助けたいなんて、ただの傲慢だった。
私なんかで救えるくるしみなら、亜貴は今こんなにも弱って、縋りついたりしてくれていないだろう。
何一つ一緒になれない私たちは、ただひとつ、苦しみだけが寄り添っている。皮肉なものだ。絶望のにおいだけが、ぴったり一致している。
「はは、わかるなあ、私はいつも眩暈みたいにまっくらな視界に星がきらきら見えるの」
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