束の間の箱庭

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実直すぎるくらいに信じ切って、騙されている。そのことを思うだけで胸の内が熱くなって、吐き気が引き起こされそうだ。 泣いても何も起きない。元に戻ることもない。謝っても、もう、亜貴のこの瞬間の胸の痛みは、誰にも救われない。 亜貴、どうして嘘に気付いてくれないの。 独りよがりの感情が高ぶって、懲りずに泣きそうになった。堪えて小さく息を吸う。 最後まで突き通した嘘で、嫌われてしまう日を、待ち続けている。 「うん、好きで、ごめんね」 嘘のような本当の感情で囁いたら、亜貴の手が、私の肩を寄せた。呼吸が死んだ。 恋人なんかじゃない。 私たちは恋を捧げる同士ではない。抱き合っても、友愛以外の感情は持たれていない。私だけがそのことに苦しんで、一人芝居を打ち続けているだけだ。 ごめんなさい。 何度心で謝っても、決定的な言葉が縺れたまま、私は今日も息を繋げている。 どんな罪で裁かれるのだろう。亜貴に裁かれるのなら、その瞬間に終わってしまっても良いのかもしれない。 「どうして謝るの」 「へへ、あきらめが、わるいから」 ずっと好きだった。なぜなんて、聞かないでほしい。 一つ理由を並べるだけで、好きの重さに耐えかねて泣き出してしまいそうだから。 亜貴の優しさを利用して、最低の約束をした。どうやって解放してあげたらいいのだろう。わかりたくないまま、隣を占領している。
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