崩壊カウントダウン

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去年の花火大会の日は、すべての雲が休暇中なのかと思ってしまうくらいの晴天だった。 前日は全員バイトで、深夜までこってり働かされた。 もちろん、人数の少ないアルバイトのメンバーが、4人同じ日に休みを取らせてもらえることについては感謝してもしきれない。 結局3時まで働いて、4人とも疲れ切ったまま道を分かれた。 起きたらすでに12時を回っていて、総司からは、“16時に大学集合”と連絡が来ていた。去年と全く同じようなやり取りをしていることに苦笑してしまう。 もう大学に入って2回目の夏が来てしまった。妙な感慨を抱えたまま、アイスキャンディーに齧り付いた。 浴衣の着付けは母親から習っていたから、特に問題なく着られた。朋美は美容室でフルコーディネートしてくると言っていたけれど、去年付き合ったらひどい目に遭ったから、私はゆっくり自分でセットすることにする。 朋美の隣にいると常に目立つから、街中を歩くと必ず絡まれて面倒になってしまうのだ。 我ながら、手先が器用で良かったと思う。 亜貴は車の運転とか、空間の把握能力がずば抜けているけれど、細かい詰めとか、裁縫なんかはてんでだめだ。 大学生になってから一人暮らしでかなり苦労したと笑いながら言っていた。 大学生になって、地元から出た私たちは、それぞれ好きなところに部屋を借りることにした。亜貴と私のアパートは割と近いけれど、総司とは反対方面になる。 仲間外れ断固拒否の総司の声で、三人が集まるときは、大抵総司の部屋が集合場所だった。
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