崩壊カウントダウン

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「えええ、もう、梢ちゃんマジで大好き。今日はずっと一緒にいよ」 「いや待て待て、俺は? 俺たちは?」 「ソージは全然褒めてくれないじゃん」 「褒めるよりも先に『梢ちゃんまだ?』だったじゃん」 総司と朋美の掛け合いは相変わらずだ。 二人は出会い頭からこんな調子だったから、よっぽど波長が合うのだと思う。目の前で笑っている二人に同じように笑って、ふっと横で立ち尽くしている亜貴の顔を見つめた。 「亜貴?」 「……うん?」 「どうかした?」 「ううん? 何もないよ」 にっこりと笑っている。一瞬、総司と朋美を見つめる瞳に昏い影が浮かんだように見えた気がした。 私が、朋美と亜貴の仲を勘ぐり続けているから、そう感じているだけなのかもしれないけれど。 「じゃあ、そろそろ行く?」 散々言い合って満足したらしい総司が、先頭を歩きだしていた。 珍しく総司の横に、朋美が歩いている。いつも、総司は朋美の横を歩きたがらないくせに。 そのとききっと、少し考えていれば、私は間違わなかったはずだ。 「あそこ二人が一緒に歩いてるの、珍しいよね?」 当然のように言った私に、亜貴は、どう答えたかったのだろうか。 無言になって、横を歩いている亜貴の表情を見つめたら、意味も分からないままに息が止まりかけてしまった。
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