崩壊カウントダウン

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亜貴は、何を書いたのだろう。 私と同じように、好きな女の子とのことを書いたのだろうか。亜貴の切なげな眼に射抜かれて、泣きたいまま、声が滞ってしまう。 「うん。でも、その子は俺を好きになってくれたりしない」 「亜貴、」 「総司が好きだから」 穏やかな声のまま、告げられた。何を言って良いのかわからないまま、亜貴の瞳に浮かぶ自分を見つめている。 先へ行った二人の後ろ姿が過って、声が凍り付いてしまう。亜貴は、亜貴は――。 「あき、」 ただ名前を呼んで、亜貴の大きな体に抱きしめられる。 飲んで、酔っ払って、酩酊した頭を言い訳に、距離感が近づいた時にだけ、触れることのできた匂いがいっぱいに広がった。 眩暈がする。 熱い胸に抱かれて、燃えそうなくらいの匂いの中で、亜貴の凍てつく言葉を聞いている。 「総司と朋美ちゃん、ついさっき、付き合うことになったんだって」 「あ、き」 言葉の先なんて、言われなくてもわかってしまった。私の予感は、当たってしまっていた。亜貴は、亜貴の好きな人は。 「朋美ちゃんのこと、好きだったんだ」 こころが、こなごなにくだけて、消えてしまいそうだ。 涙がこぼれた。 頬を伝って、拭えないまま流れていく。何の反応もできないままの私を見つめるために、亜貴がゆっくりと手を放して、触れてしまいそうな距離のまま、私の瞳を見下ろした。
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