束の間の箱庭

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わざわざ隙間のない私と亜貴の間に体を滑り込ませて、当然のように座った。 亜貴、総司、私の順に並んで、講義室の大きな黒板を見つめている。手持無沙汰のまま、三人ともアイスのパッケージを破いて、誰ともなく「いただきます」と呟いて、齧り付いた。 夏の味がする。唇にバニラの香料が付着して、軽く舐めとったら、もう甘い。 「今日、二人で何すんの?」 「え、それ言わなきゃダメ?」 むごいことを言う。苦笑しかけた喉をやり込めて返事を言ったら、総司の顔がこちらを振り返った。不服そうだ。 「俺ら三人で幼馴染じゃん。俺だけ仲間外れかよ~?」 当然の異議申し立てのようなニュアンスだった。総司が間違ったことを言ったわけじゃない。 常に間違えているのは、私と亜貴の方だ。 視界の端で、亜貴が綺麗に頬を笑わせていた。いつも綺麗に笑うから、ニセモノの笑顔なのだとわかってしまう。 きっと、わかってしまうくらいに、私が亜貴を見つめている証拠だ。 「なに? 先に俺と梢を捨てて可愛い彼女作った裏切りものは誰だっけ?」 「うわ、言い方悪いわ~。俺がともちゃんと付き合ったから、二人も付き合えたんじゃん! キューピット! 無意識のキューピットって言ってほしい」 「そうちゃん、アイス溶けてるよ」 「うわわ、やべやべ。サンキューこず」
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