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全て打ち砕かれて、目の前にきらきらと眩暈がひかる。
私のことは好きじゃない。好きにもなってくれない。当然のことのように囁かれて、奈落の底に突き落とされる。
そうか。やっぱりそうなのか。
望みなんて、これっぽっちも、なかった。
亜貴は私を、ただの幼馴染としか思っていない。だから、こんなことを私に投げかけてくる。
亜貴、あなたはどうして、残酷なんだろう。わかりたくない心が、ばかみたいな言葉を口にした。
「ど……、して」
「二人に、しあわせになってほしいから」
「朋ちゃんが、好きなのに?」
「うん」
「好きな人のために、好きじゃない私と、付き合うの?」
「……ごめん、最低だね。ただ、このままじゃ、俺も梢も、苦しいだけだから」
「くるしい、だけ……」
亜貴の言葉が何のための言葉なのかわかってしまうから、なおさら苦しい。
亜貴は、自分を犠牲にしてまで二人を応援しようとしている。これまで通り、4人で居られる方法を探している。
朋美が安心して笑っていられるように、必死になっている。朋美は総司が好きで、私も総司を思っているのだとしたら、どう考えても朋美は思い悩んでしまうだろう。たとえ真実がそこになくとも。
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