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「きっと総司は、これからもずっと4人が良いって言うと思うんだ。そのとき、傷つく梢を見たくないし、バラバラになるのは、もっと嫌なんだよ」
「私も、傷つく亜貴は、見たくない、なぁ」
泣き出したまま、どうしようもない心で口走る。
傷つけたくないよ。大事にしたいんだよ。
ここで頷いたら、絶対に後悔する。
わかっているのに、亜貴が差し出した優しい手に、抗う方法を持っていない。もう一度抱きしめられて、たまらなく苦しい恋心を消してしまいたくなった。
亜貴が好き。亜貴だけが好き。
でも、亜貴は私を好きになってはくれないんだ。始まった瞬間から、終わってしまっているような愛だった。
「ごめんね。梢が総司のこと好きだって知ってるくせに、今まで通り4人で居たいなんて。俺、最低だ」
最低なのは、黙ったまま亜貴の横に居座る私一人だ。
震える唇で、亜貴の耳元に囁いた。思ってもない言葉を肺の奥で作り上げて、できるだけ、優しい声で口に出した。
「あき」
「うん?」
「亜貴も、朋ちゃんのこと、ずっと好きでいて良いからね」
「……うん」
「私もきっと、亜貴のこと、好きになったりしないから」
「こず、」
「ずっと幼馴染でいられるから。だから、安心してね」
ねえ、そうしたら亜貴は、ずっと、私の隣で笑ってくれるの?
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