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机下で触れる指先
練乳と蜂蜜をティーカップに入れて、マシンの上に置く。ラテのスイッチをプッシュしたら、静かな機械音が鳴り響いた。
駅前に位置しているこのカフェは、平日は午前2時までが営業時間だ。深夜に来る客の1割は酒に酔っていて、稀に絡まれてしまうこともある。
「うわ、甘そ~」
頼んだ相手が眉を寄せている。ハニーミルクラテだから、どちらかというと甘い方だろう。適当に頼んだらしい男二人組に小さく笑いを作ってから、テーブルの上に2つ、カップを置いた。
「ごゆっくりどうぞ」
カフェスペースは1階と2階にわかれていて、深夜帯の2階の業務は、もっぱら下げられた食器の洗浄とラウンドになる。ラウンドの大まかな業務内容は、お客様が帰った後のテーブル清掃とトイレチェックだ。
今日は亜貴が1階を一人で担当している。
平日の夜番はだいたい2人で回すことになっているから、総司と朋美が付き合い始めてからは必然的に、私と亜貴、総司と朋美が同じ日にシフトに入るようになった。
カフェスタッフとは言え、夜の時間はそんなに忙しくない。大学で伝統的に引き継がれるぬるいバイトと呼ばれる部類の職場が、このカフェの実体だった。
目の前の男性客2人が来るまでは、2階はノーゲスト状態だったため、亜貴と二人でひそひそとしりとりをしながら遊んでいた。
『二階、大丈夫?』
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