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朋美はいつでも元気に満ち溢れている。燦々の太陽みたいな人だ。
眩しくなって思わず目を細めたくなってしまうくらいに素敵だ。だから、きっと目の前で私を見つめているこの人も、朋美を好きになった。
亜貴と目が合う。
私が首を傾げたら、苦笑した亜貴の指先が、垂れ下がったままの私の左手に向かった。
例えば、猛烈な苦しみがあなたを襲ったとして、私は癒してあげることもできないから。せめて、あなたが痛みで震える夜に、側にいて、抱きしめていたい。
何も言わないまま、亜貴が私の指先に触れた。
エールのような、傷のなめ合いのようなやさしい指先の熱に心が震えて、呼吸の仕方が飛んでしまった。
『梢ちゃん?』
「うん?」
『あ、聞こえてた?』
「え、と、ごめん、なんだっけ?」
『うん、二人ともお腹減ってるでしょ? 一緒に食べよ~。ソージがおごるよ~』
「うん? でもデート中でしょ?」
囁いたら、亜貴の指先に力がこもった気がした。
いつまでも疼く傷口にペン先を突き立てて、苦しみの膿をつついてしまったことに気付く。ぐるぐるとめぐる痛みの螺旋に息が続かなくなりそうだと思った。
『そうそう。夏休みの予定立ててたとこ! 4人でどっか行きたいなって、作戦会議~』
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