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二人の付き合いには、いつも私たちの存在を置くための余白を作ってくれている。それが、私と亜貴をひどく傷つけ続けていることを知らないままでいる。
「そっか……、たのしそうだね」
いいねとも、もう構わないでとも言えない。
亜貴が、朋美の声に眉をゆがめている。その苦しみで、夏のきらめきがぼろぼろと崩れてしまいそうだった。
『楽しいよ! 絶対! てことで早く来て~!』
「うん。わかった。ちょっと待ってね、亜貴が大丈夫か聞いてみる」
『亜貴くんは、梢ちゃんが来るなら絶対来るでしょ~』
「う~ん?」
携帯を耳から離して胸元に押し付ける。亜貴とまっすぐに視線が絡んだ。
「行けそう?」
小さく囁いたら、亜貴が少しだけ唇を薄く開いた。指先の熱はまだじんわりと私を掴んで離さないままだ。
「梢は?」
「うん、大丈夫だよ」
「そっか。……じゃあ、行こうか」
朋美と総司は、携帯の先で私たちがこんなにも苦しみに絶望していることなんて知らないだろう。
知らないまま、笑っていてほしいと思う。
同時に、亜貴のくるしい初恋を、これ以上苦しめないでほしいとも思う。どうして人は、人を好きになってしまうのだろう。
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