机下で触れる指先

12/21

4031人が本棚に入れています
本棚に追加
/442ページ
「海?」 「そ、行こうよ」 大学生と言えばそうだろ、と付け足した総司に、朋美が大きく頷いている。 お祭り好きの二人は常に夏のイベントに真剣だ。私と亜貴はどちらかというと家にこもっていることが多い方だから、いつもその行動力には脱帽している。 「良い感じのコテージ見つけたんだよ。で、予約したから」 「もうしたの? そうちゃん、私たちの希望聞く気なかったでしょ?」 「バイトの休みの日は確認した」 指定された日は確かに何も予定を入れていなかった。 たまたま4人が同じ日に休みになるなんてそうそうない。きっと、海でなくとも何かしらの予定をねじ込まれていたことだろう。 「あっくんも暇だろ~?」 「まあ、梢と一緒にいようかなと思ってたけど……」 隣に座っている亜貴をちらりと見つめた。そんな風に思ってくれていたのか。微笑まれて、小さく笑って見せている。 「亜貴くん、海行ったらいいことあるよ?」 朋美の声に、あっさりと視線がそらされてしまう。 亜貴の、好きな人。総司も好きな人。 朋美は魅力たっぷりに笑って、亜貴が、「なに?」と聞いたら、いっそう笑みを深めた。 「そりゃあ、海と言えば、ねえ?」 「うん?」 「かわいい梢ちゃんの、ビキニ!」 「えっ! 私?」
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4031人が本棚に入れています
本棚に追加