机下で触れる指先

13/21

4031人が本棚に入れています
本棚に追加
/442ページ
げへへ、と笑って、朋美が綺麗にウインクして見せた。 茶目っ気たっぷりの朋美に言われたら、上手く言葉を返せない。総司も総司で、「俺が選んでやろうか~?」と笑っている。完全に二人のペースに追い込まれて、苦笑してしまった。 「梢ちゃん、一緒に水着選びに行こうね?」 「ダメ」 間髪入れずに待ったがかかった。隣を見て、亜貴が小さく眉を顰めているのが見える。 「なんで~! 私が腕によりをかけて、めちゃくちゃ可愛いやつ、選んであげるよ?」 「いや、俺が選ぶし。だいたい、こずの趣味は俺が一番わかってるじゃん?」 ぎゃあぎゃあと抗議をはじめた総司と朋美に、目が回ってきた。 相変わらず忙しい。 私の水着くらいで騒ぎ立てている平和に一つ、ため息をついてから、太ももの上に置いている指先に何かが触れた感覚に気付いた。 「あ、き?」 「総司と朋美ちゃん、遠慮なく際どいやつ選んできそうでしょ。梢が風邪ひく」 「え? そこ!?」 亜貴の言葉に、たまらず総司が叫んだ。 耳に反響しているうちに、亜貴の指先が小指に絡んでくる。テーブルの下で触れて、確かめるように私の指先を掴んだ。その温かさに視線をあげて、亜貴と目を合わせた。
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4031人が本棚に入れています
本棚に追加