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太陽の光に照らされた亜貴が眩しくて、目を細めて見つめている。亜貴のベッドはセミダブルで、二人で寝ようとすると、ほとんどくっついて眠ることになる。
亜貴は気にしていないだろうけれど、あの匂いに包まれて眠るのが苦手だ。
「ええ、梢、そんなにうち来たくない?」
「なんか、聞き方がずるいなあ」
亜貴一色になって、戻れなくなりそうだからいやだ。
「明日もシフト一緒だから、それまで一緒にいよう」
「ええー……」
「梢の料理が食べたい」
「あ、それが狙いかあ」
拒絶できないまま進行している。
亜貴が笑っている。
あの二人と会った後は、しきりに二人になりたがる。気づいてしまったら、ただ苦しいだけだ。朋美を忘れようと必死になっているのかもしれない。
「亜貴の部屋のシャンプーの匂いさせてたら、なんか、あれじゃない?」
「うん? なに」
「そうちゃんとかに、茶化されそう……」
呟いてから、間違えたと思った。
つい、いつもの、ずっと昔からの感覚で総司の名前を出した。今の言葉では、まるで総司に気付かれたくないから嫌だと言っているみたいだ。
少し前を歩いていた亜貴が足を止めた。その動作で私も立ち止まってしまう。
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