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亜貴が、私に寄り掛かることに罪悪感を持っていることは知っている。自分本位に私を付き合わせているのだと思い込んで、誰よりも苦しんでいる。
でも、本当はそうじゃない。
私は亜貴の善意を利用して、亜貴の横に居たいだけの汚い人間だ。亜貴のそばにいるためなら、どんな嘘だって平気で吐ける。
傷つくことには慣れた。痛みには慣れなくても、傷つくやり方は覚えられる。
「朋ちゃんのこと、好きなままで良いよ」
「こず、」
「私、亜貴のこと好きじゃないから大丈夫だよ」
嘘を吐いて、震えそうな唇を必死で隠している。
亜貴がじっと、私だけを見つめていた。嘘ばかりが飛び出してくる私の唇を、亜貴はただまっすぐに、見つめていた。
「そうちゃんから目をそらすために、私も亜貴のことたくさん利用してるよ」
「だから、依存とか、そんなことで苦しまなくて良いから」
「亜貴、」
「ごめん」
亜貴の手が私の口を塞いで、中途半端に声が止まった。
「もう、それ以上言わないで」
「あき、」
「こず……。早く、二人だけになりたい」
泣きそうな瞳だったような気がした。
私の手を掴んだ亜貴は、迷いなく、亜貴のアパートへの道を突き進んでいく。
世界に私と亜貴だけが存在していたら、私たちは、もっと簡単にお互いを愛していただろうか。愛さないから亜貴だと知っているけれど、懲りずに考えてしまう。
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