夏の奇跡の輝きで

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朋美は宣言したら、だいたいその通りにする有言実行の人だから、当然ながら一緒に水着を買いに行くことになった。 朋美みたいにスタイルが良いわけではないから、正直あまり見せびらかしたくないのだけれど、朋美があんまりにも絶賛するから買わざるを得なくなった。 亜貴には、「どんなの買ったの」と聞かれていたけれど、それとなく話を逸らしていた。あの朋美の完璧な姿を見たあとだと、どうにも言いづらい。 「朋ちゃんはすごく似合ってたよ」と言ったら、亜貴は「風邪ひくやつじゃなきゃ、いいけどなあ」と心配そうな声を出していた。 バックミラーをちらりと見つめる亜貴の視線の先には、いつも朋美がいるのだと思う。 些細なことに傷ついたりしていたら、心臓が持たない。わかっていても苦しんでしまうから、恋愛なのだと思う。 コテージは、総司が見つけてきただけあって、立派な造りのものだった。 小高い地盤の先はすぐに海になっているから、歩いて行けば、海に降りられるのだと言っていた。 総司は良いものやトレンドになるものを見つけるのが上手だ。センスのかたまりのような男だから、きっと好きなものを探し当てるのが、すこぶるうまいのだと思う。 「うおー! すっげえ。マジですぐ海じゃん」
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