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「こずと二人、ひっさびさだね~」
「そうだね。そうちゃんが朋ちゃんとラブラブだから、私が入る隙ないよ」
「あ、俺が先に言おうとしてんのに」
「ええー?」
「あっくんとこず二人でずるいじゃん」
「んん? ずるいかなあ」
そもそも、総司と朋美が付き合わなければ、きっと私たちが付き合うこともなかった。
去年の花火大会に私が振られて、それで終わっていたはずだった。一段一段を歩きながら喋って、軽くふらついたら、総司が当たり前に私の手を取った。
「わ、ごめんごめん」
「こず、危なっかし~」
「そうちゃんが一緒に行こうって誘ったんだよ?」
「おー、責任持って下まで連れてく」
「帰りは?」
「自力!」
総司らしい言葉に笑えた。幼い頃と同じように手を繋いで、総司に引っ張られるように下へと降りていく。
「あ~、朋ちゃんに浮気って言われるよ~」
「え~、言わない言わない。ともちゃん俺よりこずラブだもん」
「私も朋ちゃんが好き」
「うっわ、あっくんにチクるかあ」
「亜貴はそんなんじゃ怒んないよ」
「こずはあっくんの本性をよくわかってないよね」
「本性?」
「梢大好き星人」
「はい?」
そんなときがあっただろうか。
総司には、亜貴が私ばかりを贔屓していると言われ続けているけれど、亜貴は基本的に女の子全般に優しい人だから、私が特別なわけじゃない。
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