夏の奇跡の輝きで

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ついさっき、朋美から荷物をさりげなく受け取っていた亜貴が思い出されて、捻り潰している。 どうして総司は、平気でいられるのだろう。私も総司みたいな愛で亜貴を見守れたらいいのに。 「こず、あっくんの誕生日何買う?」 「あ、話そらした」 「うん、この話あんまりするとマジであっくんに怒られそうだから、なし」 「はは、怒んないよ、亜貴は」 「こずの中ではね~」 「ふふ。うーん、お誕生日プレゼント、考えてはいるけど……。インターン行くって聞いてるから、ネクタイとか、タイピンとかにしようかなって考えてたよ」 亜貴のインターンは夏休み後半からスタートして、全休の日は、6時までびっちりインターン先に行くことになると言っていた。 そのために前期に授業を詰めて、後期からは2日間全休の日を作っている。誰よりも忙しいスケジュールだ。 「あ、いいね。じゃあさあ、俺がネクタイ買うから、こずはタイピンにしよ」 「はは、なんでそうちゃんが決めるの~」 「ん~、だってタイピンだったら毎日使えんじゃん? ネクタイはちょっと高いやつ奮発して買ってさ、大事な時に使ってもらおうよ」 総司の中では決まった話になっている。こうなったら聞かないから、仕方なく黙ることにした。
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