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海にたどり着いて、二人で海と階段の境目にしゃがみこむ。青々して見えるのに、どうして近くで見たら、透明なのだろう。
不可思議な現象に首をかしげていたら、総司が笑った。
「うん?」
「ううん。久々にこずと二人でうれしいな~って」
「なにそれ?」
「最近あっくんにとられっぱなしだからさ」
「あはは、それ言ったら、私も亜貴のこと、そうちゃんからとってるよ」
「そそ。でもまあ、あっくんは男同士だし、まあまあ二人になることもあるんだけど、こずはあんまりないじゃん」
「ええー? さみしがってた?」
「かわいいだろ~?」
「あ、やだ。わかっててやってるんだ」
撫でてと言わんばかりに頭を差し出してくる男に、呆れかえってしまった。
総司は甘えるのが上手だから、つい撫でまわしたくなる。抗えずに綺麗な髪に触れたら、囁くような声で「今度家行って良い?」と尋ねられた。
「いいよ? 何でダメなの?」
「ん~? なんか、最近こずが話しかけてくんないから」
「話しかけてるよ?」
「そ?」
「うん。お家、いつでもおいで」
「マジ?」
「まじだよ。あ、でも朋ちゃんが嫌じゃなければだよ」
「出た~、俺よりともちゃん優先?」
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