夏の奇跡の輝きで

8/30
前へ
/442ページ
次へ
むっとして私を見つめている。 総司には、私と亜貴のいびつな関係を見抜かれてしまう気がしている。その時総司は、どんな顔で私を見つめるだろう。 子どもみたいで、一番大人らしい人だと思う。 「そうちゃんと朋ちゃんが大事だから、嫌がることしたくないの」 「ん~、ともちゃんに言ったら、絶対一緒に行くって言って聞かないじゃん」 「はは、それは、ありえそう」 「ん~」 「いいじゃん、3人でも」 「良いけど、俺はこずと二人にもなりたいの」 「あ、チャラ男みたい」 「ええ? 違うし。普通に幼馴染のこずと一緒に遊びたいだけ」 寄せては返す波が、白い泡を浮かび上がらせては飛沫に消える。あっけない夏みたいだ。 「あっくんがインターンの時に、二人で地元帰ろ」 「えー、亜貴拗ねちゃいそう」 「うん、だから、一足先に帰って待ってるよって言っといて、その間にプレゼント買ったらよくね?」 「なるほど」 亜貴がいるのに、私と総司が二人で買い物なんて確かに妙だ。 サプライズ好きの総司からしたら、相手にバレないように準備するのは基本中の基本だろう。 亜貴は私と総司が二人で共有する嘘に対する勘が、恐ろしいくらいに良い。だから、サプライズの口実づくりにも苦労する。
/442ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4033人が本棚に入れています
本棚に追加