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むっとして私を見つめている。
総司には、私と亜貴のいびつな関係を見抜かれてしまう気がしている。その時総司は、どんな顔で私を見つめるだろう。
子どもみたいで、一番大人らしい人だと思う。
「そうちゃんと朋ちゃんが大事だから、嫌がることしたくないの」
「ん~、ともちゃんに言ったら、絶対一緒に行くって言って聞かないじゃん」
「はは、それは、ありえそう」
「ん~」
「いいじゃん、3人でも」
「良いけど、俺はこずと二人にもなりたいの」
「あ、チャラ男みたい」
「ええ? 違うし。普通に幼馴染のこずと一緒に遊びたいだけ」
寄せては返す波が、白い泡を浮かび上がらせては飛沫に消える。あっけない夏みたいだ。
「あっくんがインターンの時に、二人で地元帰ろ」
「えー、亜貴拗ねちゃいそう」
「うん、だから、一足先に帰って待ってるよって言っといて、その間にプレゼント買ったらよくね?」
「なるほど」
亜貴がいるのに、私と総司が二人で買い物なんて確かに妙だ。
サプライズ好きの総司からしたら、相手にバレないように準備するのは基本中の基本だろう。
亜貴は私と総司が二人で共有する嘘に対する勘が、恐ろしいくらいに良い。だから、サプライズの口実づくりにも苦労する。
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